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●理想のエンジン、直62015年03月29日 21:35

理想のエンジン、直6


ぼくFTO、17歳。

ぼくのエンジンはV6。
2,000ccで6気筒なんて
なかなか贅沢でしょ?

でも、究極のエンジンは
直列6気筒だ、と
言われているね。

一体何が違うんだろう…?


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車を好きになると、

 理想をそのまま形にした
 車って、どういう車なんだろう?

と、考えることがあります。

走りの理想を追求した形が
レースカーだ、というのは
ひとつの真実です。

でも、レースカーって
いろいろなレギュレーション(規則)に
縛られています。

こんなことしちゃダメ。
あんなことしちゃダメ。

そういう制限の中で
開発されているから、
理想そのままか、というと…?


ところで、エンジン単体で言えば
理想形は「直列6気筒だ」と
決まっています。

おそらくは、最初に作られてから
現代においても、そしてこれからも
変わらないんじゃないかと思います。

何がそんなに良いのかというと。
振動無く回る。これに尽きます。


エンジンが回るときには、

 ・一次振動
 ・二次振動
 ・慣性偶力

っていうのが発生するんだそう。
そしてさらに

 ・点火間隔
 ・排気干渉

…という要素も加わって、
エンジンそのものの素性が
決まってくるんです。

それぞれが何を表しているか、は
割愛します。
だって説明、難しいもの。
理解できてるかどうかも、?だし…。


そして、この5つの要素を
理論上全てクリアにできる
エンジンの型式は
直列6気筒のみ、なんです。

ちなみに、FTOが搭載している
V型6気筒の場合は、
「慣性偶力」だけは
発生してしまうんだって。

贅を尽くしたエンジンと誉れ高い
V型12気筒でも、「慣性偶力」は
無視できるレベルではあるけれど
発生しまうんだそうです。


そんな、エンジンの最高峰である
直列6気筒エンジン、
すでに世界でも、数えるほどしか
残っていません。

そんなに良いものが、どうして
衰退しちゃったのか。

これは、とにもかくにも
搭載性に難アリ、だから。

とっても細長いから、
エンジンルームに入れるのが
とっても難しい。

現代は、FFの車が多いです。
FFは、エンジンを車体の鼻先に
横に置くことがほとんど。

上の絵は、V型6気筒エンジンを
イメージして書いてあります。

だから、●が3個ずつ2列に
並んでいます。

直列6気筒は、●が6個
一直線に並ぶ形です。

そんな直列6気筒のエンジンを
横長に置いたら、車幅が
大変なことになっちゃう。

FR車向けに、縦に
置いたとしても、
エンジンの前端が
鼻先近くまで飛び出しちゃう。

鼻先が重くなっちゃうと、
軽快なフットワークが
損なわれてしまう。

FRの良いところが
スポイルされてしまいます。

さらに、直列6気筒エンジンは
重いんです。

なぜかというと、形が
細長いが故に、頑丈に作らないと、
捻じ曲がってしまうから。
そのための補強で、重くなる。

V型6気筒だと、上から見た形が
ほとんど正方形に近くなります。
形そのものからくる頑丈さのお陰で
重くなるまで補強しなくても、
十分な剛性が確保できます。


…という理由から、
理想のエンジンは衰退して
しまいました。

日本にも、1990年代までは
直列6気筒エンジンを搭載した車
沢山ありました。

その中でも、「スープラ(JZA80)」と
「スカイラインGT-R(BNR34)」は
傑出した車でした。

でもやはり、エンジンが搭載された
車全体のパッケージングを見ると、
前寄りに搭載された、重くて長い
エンジンが、目立ってしまう。

フットワークの軽さではなく
パワーに物を言わせる車です。


でも以前は、パッケージングも含めて
本当に理想形に近い車、あったんです。

例えば。

TVR タスカン。

この車は、直列6気筒エンジンを
フロントミッドに搭載して後輪を
駆動します。

矢印の部分に
エンジンが収まっています。

前輪よりも内側に入っているから
鼻先が重くならず
軽快に走ることが可能です。

そして、タスカン自体の車重も
1,100kgしかない。
トヨタのヴィッツと同じくらい。

それなのに、350~400馬力もある。

これは、良い走りが期待できる!

…でも、実際はそうでも
無かったみたいです。

確かに軽くてパワーはあるけど、
車体の剛性が低かったんだそう。

わたしは乗ったことが無いので
体験していないんですが、
TVRの車を、レーシングドライバーが
解説するビデオがあって
買ったんです。

サーキットでも公道でもあんまり…?
という結果でした。

その結果を、まるっきり鵜呑みにするか
どうかは別として、でもTVRの車作りが
その当時の水準で考えても、
他スポーツカーメーカーには
追いついていなかったのは確かなよう。

だから、

 理想をそのまま形にはしたけれど
 細かい要素技術の未熟さから
 思ったほどの成果が得られなかった

…ということなのかも知れません。

それでもわたしは、TVRの車に
惹かれてしまいます。


「TVR タスカン」は、1999年に
販売開始された車です。

でも、それ以前にもっと高い理想を
実現した車がありました。

「BMW M1」です。

なんだか、変な写真ですみません。
勝手に拝借するわけにも
いかないので…。

直列6気筒エンジンを、
リアミッドシップに搭載しています。
スーパーカーのような
成り立ちです。

TVRほど軽くはないですが、
現代の水準で考えれば
間違いなく軽量な、
1,300kgの車重。

エンジンも、当時最強
約280馬力です。

でも、BMWが初めて製造する
リアミッドシップ車。
ランボルギーニなど、いろんな会社と
技術提携したりしましたが、
製造は困難を極めたようで、
総生産台数は、500台に
満たないんだそう。

その頃のスーパーカーといえば
V12エンジンを搭載した
派手なのが多かった。

だから、6気筒エンジンの
「BMW M1」は、陰に隠れて
しまったけれど、1978年の昔に
理想が形になっていたことは、
確かです。


でも、「TVR タスカン」より、
「BMW M1」より、さらに高い次元で
理想を形にした車がありました。

ゲームの画面ですみません。
本物はもっとカッコいいです。

「トミーカイラ ZZⅡ」です。

この車は、スカイラインGT-Rに
搭載されている名機「RB26DETT」を
リアミッドシップに搭載して、
四輪を駆動するスポーツカー。

500馬力を超えるパワーを
四輪に伝えて、地面を蹴っ飛ばす。

まさに理想がそのまま
形になった車です。


…でもこれ、販売されませんでした。

とっても話題になったし、
わたしも、買えないのは分かってても
楽しみでした。


でも、なんだか良く分からない
横槍が入って、開発が中止
されちゃったんです。

カー用品店を展開する、
オートバックスセブンが
トミーカイラの開発部門を買収して
ASLという会社を作りました。

この会社、ZZⅡの開発資金を
獲得するために設立された
はずなのに、その後発表されたのは
「ガライヤ」という名前の
直列4気筒エンジンが搭載された
まったく別の車でした。

でも、そのガライヤも
カッコいい車だったんです。

レースでも走ったし。

だから、ガライヤが売れてから
ZZⅡを開発するのかな、と
思っていたら。

結局、ガライヤの製造販売計画も
中止になって、ZZⅡもお蔵入りのまま。
ASL自体も、活動休止状態です。

もし販売されていたら、
まさに理想がそのまま
形になった車だったはず。

本当に、残念です…。

車史の中では、販売まで
漕ぎ着けられなかった
コンセプトカー、沢山ありますが、
ZZⅡの開発中止が、
個人的には一番ショックでした。


ちなみにトミーカイラは、日産や
スバルに強い、アフターパーツも
作っているメーカーです。

あんまり三菱、関係ないんですけど
ZZⅡが、なんとなく忘れられなくて。

今でもシフトノブだけ、
トミーカイラのを使っています。

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